コラム

家族信託コラム
遺言では解決出来ない事も家族信託なら解決出来るの?

生前の相続対策で注目を集めているのが家族信託です。

 

相続対策として「遺言」を活用する方が多いと思います。

 

遺言は法律で定められた行為になりますので遺言書を残す事で「誰に」「どの財産を相続する」のかについて定める事が出来ます。

 

しかしながら、遺言では解決出来ない事があります。

 

例えば、以下のようなケースです。

 

「使い込む恐れがあるから年金のような毎月定額を渡したい」

「遺産の貰い手がある一定の年齢(成人)になったら遺産を渡して欲しい」

「家の改築や入院費、施設入所等の特定の目的の為に遺産を使って欲しい」

 

というような意思を反映させる事は残念ながら出来ません。

 

そんな遺言では出来ない事を、「家族信託」なら解決することができます。

 

家族信託とは、ご自身の財産を、信頼できる人に託す制度です。

 

託すという言葉がイメージしにくいので、ご自身の財産を、家族に預けると考えてください。

 

この家族信託を利用する事で様々な事を指定する事が出来るようになります。

 

財産を「誰に渡すのか」「何の目的の為に利用するのか」「どのようにして財産を渡すのか」という指定をする事が可能となります。

 

その他にも、家族信託は「成年後見」では対応出来ない事にも対応出来るメリットがあります。

 

成年後見とは、判断能力が低下した後、財産の管理や日常のサポートを後見人が行う国で定められた制度になります。

 

成年後見制度では、積極的な資産運用や相続税対策として生前贈与を継続したい場合は裁判所の許可を必要としますので、実務上、「積極的な資産運用」や「相続税対策」といった行為を行う事が出来ないのですが、「家族信託」では「積極的な資産運用」や「相続税対策」といった行為が行うことが出来るのが、成年後見制度の違いです。

 

後見制度や遺言制度に代用として活用し、時には、遺言書と信託を合わせて利用する事によって被相続人の希望に合った財産管理や承継等が可能になります。

 

お客様の状況に応じて活用する事をおすすめします。

 

近年注目を集めている家族信託を生前の相続対策を行う上では今後必要不可欠になっていくと思いますので相続対策をお考えの方は是非、家族信託をおすすめします。

 

家族信託に関してご不明点がございましたら信託の専門家に相談する事をおすすめ致します。

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    受益者である子ども3人については未成年であったため、成人するまでは、信託財産の中から生活費や教育費を受け取って、30歳でその1/3を、35歳で1/2を、40歳で残りの全額を自由に使えるとされており、遺された遺族の生活を長期的な視野で手厚く保護する仕組みになっていたのです。

     

    ここで、「遺言で家族へ財産を遺せばいいのでは?」と思われた方もおられるのではないでしょうか。もちろん、遺言でも財産を遺すことはできますが、遺産は一括して承継されるため、子どもたちが財産管理能力が不十分な若いうちに、すべての財産を消費してしまうというリスクもあります。上記のように、継続して安定的に遺産を承継できるような信託の仕組みを作っておけば、財産管理能力が十分に備わっていない未成熟な子や、身体的・精神駅な障がいにより特別な配慮を要する相続人、浪費癖のある相続人への資産承継として、理想的な形を作り上げることができるのです。